2011年3月4日金曜日

最後の砦

好きなことで生きろと、人はいう
個性が大事と、皆もうなずく
やりたいことを探し、旅に出る者もいる
街にはモノがあふれ
人生の選択肢は無限大にあるかのようだ

でもぼくは混乱している
選択肢が多いからではない
個性とともに協調性を求められ
やりたいことも、常識を超えてはいけない
ぼくに許されるのは
すでにあるものを消費するだけ

結局ぼくの自由とは
常識と、前例と、世間体と
年齢と、性別に相応という縛りのなかで
人に迷惑にならないように
周りに気をつかいながら
かすかに残ったぼくの残がいを拾うだけ

ぼくの心は知っている
ぼくがぼくであるために
ぼくの心を解放するには
好きなことは好き、嫌いなことは嫌いと
堂々と宣言することだ

いくら常識外れと言われても
どれだけ人と違い
どれほどワガママと非難されようが
たとえ年不相応と呼ばれ
男らしくなくても
自分にだけは正直でありたい

ぼくがぼくでいるための
それが最後の砦(とりで)なのだから

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